ゼロから始める法人で使える24の節税対策を税金の仕組みから徹底解説!

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キャッシュの支出を要する節税

役員報酬の改定

社長や役員の給与は、会計期間開始3か月以内であれば、任意に決める事が出来ます。

例えば3月決算の法人であれば、6月末日までであれば改定する事が可能です。

これにより、見込まれる利益に対して法人税等がかからないように役員報酬を調整して経費を作る事が可能になります。

しかし、一度決めた役員報酬は次回の改定期間[1]3月決算法人の場合は翌年4月から6月までが改定期間まで同額で支給する必要がありますので注意しましょう。

どうしても資金繰りの関係から役員報酬が支払えなくなった場合は、未払のままにする事も可能ですが、未払となって1年以上経過するなどした際は役員から法人に対する貸付とみなされるため、利息の計上が可能になります。

国税庁 役員に対する給与

役員賞与

原則的には役員報酬は定期同額である事が求められますが、税務署へ事前に届ける事で賞与を支給する事が可能です。また、役員賞与を活用する事で社会保険料の節税にもなりますよ。

手続きとしては、事前確定届出給与に関する届出書を役員賞与の支給を決議した株主総会の日から1ヵ月を経過する日もしくは会計期間開始の4か月以内のどちらか早い日付までに税務署に提出します。

例えば3月決算法人の場合に役員賞与の支給を決議する株主総会を5月20日に行った場合は、6月20日までに税務署へ届出書を提出する必要があります。

また、賞与に係る社会保険料は宮城県を例にすると上限額は573万円厚生年金については上限額が150万円までと定められていますので、年間で上限額以上の役員報酬を支給する場合は、役員賞与として支給する事で社会保険料の節税になります。

例えば、毎年1,200万円の役員報酬を毎月支払う定期同額給与とした場合の社会保険料納付額[2]会社負担分+本人負担分は、2,544,576円ですが、役員賞与の場合の社会保険料納付額は850,938円なので、その差額1,693,638円が社会保険料の節税額です。

実質的に賞与として支払われている事が要件になりますので、役員賞与を未払として毎月支払うなどは、社会保険料の賞与月額の適用外になってしまうので注意してください。

協会けんぽ 宮城県の社会保険料額表

親族を役員にする

配偶者や子どもなどの親族を役員にして所得を分散する事で節税になり家族全体の可処分所得[3]税引き後の手取り額を最大にする事が出来ます。

会社の役員には何歳からなれるのか?と疑問に思われる方もいると思いますが、会社法に規定がないため意思能力の有無により判断する事になりますが一般的に10歳以上であれば意思能力があるとみなされるため会社の役員には10歳からなる事が出来ます。

また報酬の額ですが、税務調査の際に相場から見て不相当に高いと調査官に判断された場合は、相場と乖離した部分の報酬額については、経費計上が認められないので注意しましょう。

ただし、役員は委任契約なので報酬額が時給で決まる訳ではないので、支給する報酬額が相当と客観的に判断出来るように役員が職務内容について理解しているのは、もちろんですが、株主総会議事録を付けるなど活動内容を残しておくことも重要になります。

国税庁 役員の範囲

短期前払費用

オフィスの賃料やシステムの保守料、保険料の支払など会社の収益と対応させる必要がない1年以内の経費支払を年払いにする事で翌年分の経費を先取りする事が出来ます。

最大で2年分の経費を計上出来ますので、節税効果は高いですが、継続して処理する事が前提となっていますので、恣意的に今年は年払いで翌年から月払いに戻すなどは認められませんので注意が必要です。一般的に最低でも3年は継続するようにしましょう。

また、節税効果があるのは、初回年払時の2年分経費計上出来る場合のみなので、次年度以降は節税効果がないため、いわゆる課税の繰延である事は理解しておきましょう。

国税庁 短期前払費用として損金算入が出来る場合

従業員用社宅

役員社宅と同様に従業員用に法人が賃貸契約した住宅を貸与する事で必要経費として計上する事が出来ます。

家賃の50%程度を従業員が負担する事が要件になります。もし家賃の50%よりも従業員の負担が少ない場合は、現物給与として課税されてしまうので注意しましょう。

また、水道光熱費は全額従業員負担となるとなる事は、経営者と従業員双方で理解しておきましょう。

国税庁 使用人に社宅や寮などを貸したとき

社員旅行

会社負担で社員旅行をした際の費用を必要経費として計上する事が出来ます。

ただし、以下の要件を満たす必要があります。

  • 旅行日程は4泊5日以内
  • 参加者が全従業員の50%以上
  • 会社負担の旅行費用は10万円以内

また、旅行に行くか金銭での支給を選択するものや旅行に参加出来なかった従業員に金銭を支給するものは給与として課税されてしまうので注意しましょう。

国税庁 従業員レクリエーション旅行や研修旅行

決算賞与

会社の業績が良く利益が予想以上に出た場合に法人税等の支払額を抑える目的で従業員に臨時で賞与を支給する事で決算間近でも使える節税対策です。

例えば、法人税率は所得が800万円を超えた部分の税率が高くなりますので、所得を800万円以内に調整する事で実質的に会社から外部に流出する資金を抑えられます。

決算賞与を出す場合は、節税効果も大事ですが、法人税等を支払うのと賞与を出すのでどちらが会社の資金が多く残るか資金ベースで検討してみる事をおすすめします。

また、未払での計上も可能ですが、いつまでも未払のままだと経費計上が認められない場合もあるので翌月には支払うようにしましょう。

社員教育へ投資する

業務に直接関わるセミナー参加費を会社負担する事で経費計上出来ます。

また、従業員にとっても給与課税がされる事はありません

しかし、例えば営業職の人が社労士のセミナーに参加するなど業務と直接関係ないセミナー参加費や資格取得費用などは現物給与として課税されてしまうので注意しましょう。

健康診断

役員も含めた従業員全員を対象とする定期健康診断の費用を会社で負担した場合は、必要経費に計上する事が出来ます。

また、30歳以上など年齢で対象者を限定する事は可能です。

ただし、役員等特定の者だけを対象とする健康診断費用を会社が負担した場合は、現物給与として課税されてしまうので注意しましょう。

国税庁 人間ドックの費用負担

アウトソーシングの活用

業務を外部委託して外注費を支払う事で消費税の節税になります。

消費税の納税額は、売上と共に預かった消費税から経費の支払と共に支払った消費税を差引く事で算出しますが、従業員を雇用して給与を支払った場合は、給与に消費税は課税されないため消費税の納税額を減らす効果はありませんが、外注などをして人材派遣会社へ派遣料を支払った場合の外注費は消費税が課税されますので、例えば経理などのバックオフィス業務を外注する事で消費税の節税効果があります。

国税庁 「労働者派遣」に係る労働者派遣料

少額減価償却資産

パソコンやサーバーなどの備品等を購入した際に、購入単価が30万円未満であれば減価償却せずに購入した年度で全額経費計上する事が出来る制度です。

決算間近でも使える節税対策ですが、不必要な消耗品を買うだけでは資金繰りを悪化させる可能性や切手などの場合は貯蔵品として経費計上が認められない場合もありますので、気を付けましょう。

また、少額減価償却資産の特例で即時償却できる資産は年間300万円までです。無制限に使える訳ではないので注意しましょう。

国税庁 中小企業者等の少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例

小規模企業共済

独立行政法人 中小企業基盤整備機構が運営する小規模事業者の経営者等を対象とした積立による退職金制度です。

掛金は月額1千円から7万円の間で自由に設定できます。しかも掛金は全額所得控除に使えますので、役員報酬として高所得となった場合の所得税対策になります。

また、積立額を原資に借入の利用も出来ますので、会社の万一の備えとする事も出来ます。

中小機構 小規模企業共済

経営セーフティ共済

独立行政法人 中小企業基盤整備機構が運営する中小企業が連鎖倒産や経営難に陥るのを防ぐ制度です。

掛金月額は千円から20万円で設定出来ます。また、掛金は全額会社の必要経費に計上する事が出来ます。さらに1年以内の前納も可能ですので最大で480万円もの経費を作る事が可能です。

また、最大で積立額を原資の10倍の借入が出来ますので、経営状態の悪化など万が一の事態を乗り切るための備えにもなります。

中小機構 経営セーフティ共済

中小企業退職金共済

独立行政法人勤労者退職金共済機構が運営する中小企業に雇用される従業員の退職金制度です。

掛金月額は5千円から3万円の間で自由に設定できます。また、掛金は全額必要経費として計上出来ます。また、従業員としても転職する場合などで転職先に中退共の制度があれば引き続き加入する事が出来るので管理する負担がなくて安心です。

中退共

法人の最強節税方法

パーマネントトラベラー

特定の国に居住しないため、いずれの国からも非居住者として扱われる事で個人に対する税負担を最小限にしようとするライフスタイルの事です。

非居住者となる事のメリット

  • 特定の国の税制が適用される事がない

例えば日本の居住者である場合は、国民皆保険制度により国民健康保険や国民年金への加入義務を負ったり、所得に課税されます。所得税の最高税率は45%と住民税の10%併せて最大で所得の55%もの税負担になります。

しかし、パーマネントトラベラーとして非居住者となる事で、こういった特定の国の税制が適用される事がなくなるため税負担を最小限にする事が可能です。

非居住者となる事のデメリット

  • およそ最長で3か月毎に国を移動する必要がある
  • 国民皆保険が適用されないので医療費は全額自己負担

日本で非居住者と扱われるためには、日本に住所がなく、国内に1年以上滞在していない事が要件になります。

国毎に非居住者としての要件が異なりますので、パーマネントトラベラーとして渡航先を選ぶ際は事前に下調べが必要になります。

例としてタイで非居住者として扱われるためには、その年の1月1日~12月31日までの間に通算して180日以上滞在していない事が要件になります。

また、日本居住者であれば国民皆保険が適用されるので、医療費負担が軽減されたり医療費の個人負担限度額が規定されていますが、こういった社会保障制度の枠外で生活するようになるため、医療費は無制限に全額自己負担になります。

しかし、国民年金への任意加入制度を活用して日本の年金制度に引き続き加入する事は可能です。

国税庁 居住者と非居住者の区分

ファイブフラッグ理論で節税効果を最大化

用途毎に国を使い分けて国毎のメリットを最大限享受しようとする考え方です。

ファイブフラッグという名の通り5つの用途に区分されています。

①国籍のある国

自身の国籍のある国がパスポートを発行します。そのため発行する国によってビザなしで渡航できる国に違いがあります日本のパスポートの場合は、世界で最も多く190の国へビザなしで渡航する事が可能です。

ビザなしで渡航できる国はアメリカでさえ186ヵ国、中国では74ヵ国に限られていますので日本のパスポートが世界的な信用を得ておりパーマネントトラベラーとして生活するには最適と言えます。

世界パスポートランキング

②資産運用する国

株式や金融商品、土地等の資産を売却した際に生じるキャピタルゲイン[4]譲渡益へ課税される税率が低い国で資産運用を行う事で、税引き後の可処分所得を最大化するというものです。

所得税率が低い国いわゆるタックスヘイブンとして、スイス・ドバイ・イタリア・モナコが挙げられます。

③住所のある国

日本でマイホームなどを所有すると固定資産税や相続税が課税されます。

また、日本の非居住者になるためには、他のいずれかの国に住所を移す必要があります。

中東のサウジアラビアやクウェートなど国によっては、固定資産税が非課税であったり、中国・カナダ・シンガポール・オーストラリアなど相続税を課していない国もあります。

④ビジネスを行う国

世界銀行がまとめた2019年度「ビジネス環境の現状に関する報告書」によるとビジネスを行いやすい国は上位からニュージーランド、シンガポール、デンマークという順でした。ランキングでは、事業を行う際や起業する際の手続きの簡素さにより評価されています。

日本は39位という結果でした。日本の行政手続きが煩雑である事が伺えますね。

スタートアップのように市場に新たなイノベーションを起こす企業の場合は、先行者利益をより多く獲得するためにスピード感が肝要と思われますが、日本の現状を見るに手続きが煩雑な分、他の国と比較して起業機会を逃していると見る事が出来ます。

ビジネスのしやすい国ランキング

⑤余暇を過ごす国

生活の拠点となる国です。1年中温暖な気候で治安が良く物価の低く過ごしやすいタイやマレーシアや相続税などが非課税なドバイやモナコなど生活面や税制面などを考慮し最適な国をピックアップしてみると良いですね。

yahooニュース 世界に5本の旗を立てる「ファイブ・フラッグ理論」 新たなライフスタイルの提案

税制改正にご用心

ここでは、以前は利用出来たけれど規制されたために節税スキームとしての意味合いを無くしてしまったものを紹介します。

  • タックスヘイブンにペーパーカンパニーを設立し節税を計る
  • 一般社団・財団法人を設立し相続税対策とする

タックスヘイブンを活用した節税

2011年に最高裁による判決が出た事で幕を閉じた武富士事件に代表されるような日本よりも税率の低いタックスヘイブンを活用した節税スキームが現在では税制改正により要件が複雑になりました。

武富士事件は、1999年に創業者、武井保雄元会長(故人)の長男で元専務の俊樹氏が香港に設立されたペーパーカンパニーを使い自社株式の譲渡を行った事で贈与税の申告漏れを国税に指摘された事件です。結果としては武富士側の勝訴つまり株式の譲渡は適法に行われたという司法の判断になりました。

現在は2000年の税制改正により、財産を贈与する側とされる側の双方で5年以上日本の非居住者でなければ贈与税が課税されるように規制されました。

また、2015年にパナマ文書によりタックスヘイブン(租税回避地)として公にされた事に端を発して経済協力開発機構(OECD)が主体となり発足した「BEPS(税源侵食と利益移転)プロジェクト」において、多国籍企業の租税回避への対応が加盟各国に求められる中、日本においても2017年の税制改正によりタックスヘイブン対策税制による規制が実施されました。

これにより、タックスヘイブンへの徴税がより厳しくなり以前は法人税率20%未満の国にのみ課せられていたペーパーカンパニーで無いことを証明する書類の提示義務が法人税率30%未満の国へも適用拡大されています。

なお、ペーパーカンパニーとみなされた場合は、日本の国内企業の事業活動と合算して申告する必要のあるため日本国内の税制が適用される事になります。

国税庁 外国子会社合算税制(タックスヘイブン)に関するQ&A

一般社団・財団法人を設立した相続税対策への規制

一般社団・財団法人の場合は、出資の概念がないため、株式会社のように株式の所有により法人を支配するものではなく、理事会など社内決議により代表や社員を選任出来るため理事等に変更事由が発生した際には、社内手続きのみで完結する事が出来ます。

つまり、相続財産となりえる自身の所有する自社株式や土地等を社団法人に所有を移す事で以後の相続を無税で行う事が可能でした。

しかし、2018年の税制改正により、社団法人等が親族のみにより構成されている場合は、社団法人等を個人とみなし相続税が課税されるようになったため節税スキームとしての効力を失いました。

国税庁 特定の一般社団法人等に対する課税

このように税制においては、節税スキームが組み立てられれば後追いで税制改正される事により規制するといういたちごっことも言えるような状況のため過去使えた節税スキームが現在も通用するかは、入念に検討すべきです。

 

法人の節税対策まとめ

  • 個人に課税される所得税の最高税率は45%だが法人税は23.20%
  • 法人と代表者個人や親族で所得分散させる事が出来る
  • 法人では様々な税制優遇制度が使える
  • パーマネントトラベラーは最強の節税方法
  • 税制改正には注意しよう

ここで紹介した節税対策は筆者の主観によりますので、個別具体的な内容については税理士や最寄りの税務署へ相談するようにしましょう。

最後までお読み頂きありがとうございます。

当記事が読者方のお役に立てたら幸いです。

References

References
1 3月決算法人の場合は翌年4月から6月までが改定期間
2 会社負担分+本人負担分
3 税引き後の手取り額
4 譲渡益

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