住民税の節税
所得税の節税対策において所得控除や税額控除を受ける場合は、課税の計算の基礎となる所得が引き下げられますので、その関係で住民税についても節税されます。
住民税とは市民税と県民税の総称で、それぞれ均等割と所得割があります。
税額については、市区町村によって違いがあります。ここでは仙台市を例に見てみましょう。
個人市民税 | 個人県民税 | 合計 | |
均等割 | 3,500円 | 2,700円 | 6,200円 |
所得割 | 8% | 2% | 10% |
ふるさと納税
- 市区町村へ寄付する事で所得税では所得控除、住民税では税額控除が受けられる
- 控除額は、寄付金額−2,000円
- 市区町村では寄付金額によって様々な返礼品を用意しています
- 控除を受けるためには確定申告が必要
- ワンストップ制度を使うと確定申告が不要になる
ふるさと納税は、節税面よりも市区町村の豪華な返礼品が話題になりましたよね
それでは、制度の概要について見ていきましょう。
控除額は、寄付金額−2,000円で住民税の所得割の2割までです。
川尻浩作をモデルとして寄付した場合の節税額を試算すると
寄付金額 | 所得税控除額 (所得税率5%) | 住民税控除額 | 控除額合計 | 備考 |
20,000円 | 800円 | 17,200円 | 18,000円 | 適用下限額の2千円を超える部分 が所得税・個人市県民税から全額 控除される場合 |
50,000円 | 2,400円 | 26,800円 | 29,200円 | 個人市県民税の特例分の控除額が 上限額(個人市県民税所得割の2 割=住民税所得割146,000×20%=29,200円)を超えるため、全額控除にはならない場合 |
このように、控除額が上限まで取れるケースとそうでない場合がある事がわかます。
住民税所得割の2割という控除額の上限は、自分自身で個別に計算するのは、知識のある人でも一苦労です。
簡単にふるさと納税のシミュレーションが出来る楽天 かんたんシミュレーターがありますので、自身に最適な寄付金額を検討する際に参考にしてみてください。
住民税の非課税限度額
所得税の扶養控除では16歳以上という年齢制限がありましたが住民税の非課税限度額の計算では、年少の扶養家族も含まれます。
住民税の非課税枠は以下の通りです。
均等割と所得割が非課税になる所得金額
「35万円×人数(本人+同一生計配偶者+扶養親族数)+21万円」以下の方
所得割が非課税になる所得金額
「35万円×人数(本人+同一生計配偶者+扶養親族数)+32万円」以下の方
川尻浩作を例にした場合の非課税になる所得金額を試算します。
均等割と所得割が非課税になる際の所得は、126万円以下
所得割が非課税になる際の所得は、137万円以下
先に試算した所得金額は146万円程でしたので、あと20万円程の所得控除を増やす事が出来れば住民税が非課税になります。
iDeCoでは掛金が全額所得控除になりますし、祖父や祖母など同居していたり生計を一にする事実がある場合は、扶養家族として申告する事で税負担が減らせるなど申告方法を見直す事で、家族全体としての税負担を軽減させる事が出来ます。
社会保険料の節税
実に給料額面の15%程が天引きされていた社会保険料についても節税対策が可能ですので、具体的な方法と節税額について見ていきましょう。
親族を扶養に入れる
- 社会保険では生計を一にする親族を扶養に入れる事が出来る
- 配偶者や子、親や祖父母また孫や兄弟姉妹は同居の別を問わず扶養に入れる事が出来る
- 同居を要件として、3親等内の親族や内縁の配偶者の父母や子も扶養に出来る
- 年収制限があり扶養に入る者の年収は130万円未満
社会保険は国の社会保障制度で、会社員であれば社会保険、自営業者や主婦は国民健康保険への加入が義務付けられています。社会保険は国民健康保険の上乗せ制度となっています。
社会保険と国民健康保険は、医療費の負担が3割になるなど恩恵としての違いは分かりにくいですが、決定的に違うのが扶養という概念があるかないかです。
つまり、社会保険には扶養があり、国民健康保険には扶養という考え方がありません。
ここでは、親族を社会保険の扶養に入れる事で、どれほどの節税になるかを解説します。
それでは、川尻浩作を例に具体的な節税方法をシミュレーションしてみます。
国民健康保険については、こちらからシミュレーションしました。
年間国民健康保険(円) | 年間国民年金(円) | |
妻 | 49,170 | 198,480 |
子 | 49,170 | 0 |
妻と子の国民健康保険と国民年金を合わせると年間で296,820円にもなります。
無収入の妻と子であっても必ず負担する保険料ですので、家計の負担たるや計り知れません。
そこで、妻と子を社会保険加入者本人の扶養に入れる事で、妻と子には国民健康保険および国民年金の納付義務がなくなるので296,820円を一切負担する必要がなくなります。
また、扶養に入っている期間でも医療費3割負担などの国民健康保険の恩恵を受ける事が出来ますし国民年金についても未納とはならず、年金の支給計算に含まれます。
手続きは必要書類を会社に提出する事で行えますので、一度検討してみましょう。
サラリーマンの最強節税方法
これまでは、サラリーマンが行う事の出来る節税方法について見てきましたが、節税額には制度上の限界があります。それに、給与明細から分かるように、額面から各税目が天引きされた手取り額で生活費を賄ったり、仕事上必要なスーツの購入費や自己啓発やスキルアップのために行うセミナー参加費や書籍代などの支払いをする必要があります。
そこで、ここではサラリーマンの最強節税方法について解説していきます。
事業を持つ
これは本業以外に副業を持ち確定申告する事で節税を可能として最大の恩恵を受ける事が出来ます。
事業とは国税庁 事業者とはにあるように「対価を得て継続・反復して行われる」事を言います。
給与と事業では別々の所得として計算され、給与所得と事業所得を合算された所得に対して課税されます。
- 給与所得の課税=収入×各種税金(社会保険など)
- 事業所得の課税=(収入−必要経費(家賃や接待費など))×各種税金(所得税など)
サラリーマンが税金を天引きされてから手取り額となる事は既に承知の事と思います。
では、事業はと言うと収入から事業に必要な経費を差し引いて残った分に課税されます。
つまり、給与所得にマイナスはありませんが、事業所得にはマイナスがあると言う事です。
そして、事業に必要な経費には、かなりのグレーゾーンがあり、このグレーゾーンを活用する事で最大の節税効果を発揮します。
ただし、サラリーマンのように給与所得のある方が副業を事業的な規模で行い20万円以上の所得がある場合は確定申告する必要がある点は理解しておきましょう。
具体的な節税方法としていくつか挙げておきます。ほんの一例で業種により手法は変わります。
- 自宅を自宅兼事務所とする事で事業の必要経費へ参入
- 自家用車を事業用として使う事で、ガソリン代や車検代などの維持費を必要経費にする
- コンサルティング業など業種によっては、セミナー、旅行や会食代が必要経費に参入可能
自宅兼事務所や自家用車を事業用に転用する際には家事按分が必要になります。
家事按分は、おおよそ50%程は容認される傾向にあるので例えば、家賃が10万円の自宅を事務所とする事で5万円は経費として見られると言う事です。
このように、給与所得の際は、各税目が給料から天引きされた後に残された手取り額から全ての生活費を捻出していましたが、事業を始める事で、家賃や自動車の維持費を経費として計上する事で課税の基礎となる所得を引き下げる事が可能になります。
サラリーマンの節税まとめ
- 給料からは、所得税・住民税・社会保険料が天引きされている
- サラリーマンの実効税率は20%程
- 各種控除を活用する事でサラリーマンでも節税は可能
- 給与所得にマイナスはないが、事業所得にマイナスはありえる
- 自宅兼事務所などで生活費を事業の必要経費とする事で節税の幅が広がる
ここで紹介した節税対策は筆者の主観によりますので、個別具体的な判断をする際は税理士や最寄りの税務署へ相談するようにしましょう。
最後までお読み頂きありがとうございました。
当記事が読者方のお役に立てたら幸いです。
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