
海外ETFの手数料や分配金について知りたい!
公募投資信託とは何が違うのかな?

海外ETFの税金の仕組みを理解して賢く資産形成したい!
なんてお考えではないですか?
海外ETFはネット証券会社でも多数取り扱っていて、NISAで運用する事が出来るなど株式と同様に売買する事が出来て運用が容易になっています。
しかし、株式や公募投資信託とも手数料体系や運用コストが異なっていたり税金面も考慮すべき点があります。
この記事を読んでもらえると海外ETFの手数料・分配金・税金の仕組みや公募投資信託との違いについて理解してもらう事が出来ますよ!
海外ETFとは?
海外ETF[1]Exchange Traded Fundとは、海外の証券取引所に上場された投資信託の事です。例えば米国であればニューヨーク証券取引所やNASDAQに上場されて取り引きされています。運用方針は特定の指数に連動した投資成果を目指すインデックスファンドがほとんどです。
海外ETFは証券取引所に上場されていますので、公募投資信託とは違い株式同様に市場価格により自由に売買取引を行う事が出来ます。しかし、公募投資信託では、買付手数料無料のノーロード銘柄や売却時手数料である信託財産留保額の掛からない商品も多くありますが、ETFの場合、基本的には売買手数料や国内通貨を外貨に交換する際の為替手数料が発生します。
公募投資信託の中には楽天・全米株式インデックスファンド[2]楽天VTIのようにファンド・オブ・ファンズ方式により運用されている商品もあり、その場合はETFの購入を通じて分散投資を可能にしています。
また、海外ETFには銘柄毎に商品コードが付いていて、先ほどの楽天・全米株式インデックスファンドは楽天VTIとも呼ばれています。それは投資対象であるバンガード・トータル・ストック・マーケットETFには「VTI」という商品コードが付記されているためです。
海外ETFの特徴として「運用コストの安さ・柔軟な取引・外貨での運用」が挙げられます。
外貨での運用になりますので、為替相場が円高に動いた際に資産が目減りする為替リスクを負う点には留意が必要です。
ETFの銘柄によっては取引量が少ない場合に連動する指数に見込まれる市場価格で取引できない場合も想定されます。その際には、売却時の市場価格が購入時を下回ってしまい損失を被る可能性があります。
市場の急変等により十分な運用資金が確保されない場合や純資産総額が減少しているために運用の継続が困難と運用会社が判断した場合は、早期での償還が行われる事もあり得ます。
また、各取引所の定める上場基準を満たさなくなった場合は、上場廃止となる恐れもあります。その際も繰上償還されて運用資産が換金されて払い戻されます。
バンガード・トータル・ストック・マーケットETFと楽天・全米株式インデックスファンドを例にして海外ETFと公募投資信託との違いを一覧で確認してみましょう。
バンガード・トータル・ストック・マーケットETF(VTI) | 楽天・全米株式インデックスファンド(楽天VTI) | |
海外ETF(上場投資信託) | 公募投資信託 | |
取引単位 | 1口単位:18,416円(1口173.87米ドル、1ドル=105.92円) | 100円以上1円単位 |
取引価格 | 取引時間中に変動する市場価格 | 日毎に算出される基準価額 |
取引通貨 | 米ドル(円決済可) | 円 |
運用コスト | 0.03% | 0.162% |
分配金再投資 | 受取 | 受取もしくは再投資選択可 |
税制優遇制度 | NISA | NISA・つみたてNISA・iDeCo |
課税関係 | 外国所得税10%+国内所得税20.315% |
海外ETFの手数料
売買手数料
海外ETFは公募投資信託と違い、基本的に売買手数料が掛かります。
大手ネット証券の売買手数料を一覧で確認してみましょう。
SBI証券 | 楽天証券 | マネックス証券 | |
最低手数料 | 0米ドル (約定代金2.02米ドル以下) | 0円米ドル (約定代金2.22米ドル以下) | 0米ドル (約定代金1.11米ドル以下) |
売買手数料 | 約定代金の0.495%(税込み) (約定代金4,444.44米ドル以下) | ||
最大手数料 | 22米ドル (約定代金4,444.45米ドル以上) |
比較したネット証券のいずれも最低手数料は0米ドルから最大手数料は22米ドルと業界最安水準となっています。
中でも、楽天証券が最低手数料に該当する約定代金が2.22米ドル以下と最も高いので他社よりも有利に取引する事が出来ます。
また、SBI証券・楽天証券・マネックス証券では、海外ETFの特定銘柄の買付手数料が無料になる施策を実施しています。
為替手数料
海外ETFを購入する際は、海外ETFの上場する取引所が属する国の通貨によって取引を行いますので、円決済をした場合は現地通貨に交換する為替取引も同時に行われますので為替手数料が発生します。
大手ネット証券の米国ETFを円決済した場合の為替手数料を比較してみましょう。
SBI証券 | 楽天証券 | マネックス証券 | |
買付時 | +0.25円 | +0.25円 | 0円 |
売却時 | -0.25円 | -0.25円 | -0.25円 |
比較したネット証券は売買時の為替手数料が0.25円と業界最安水準です。
中でも、マネックス証券では、買付時の為替手数料が海外ETFの全銘柄で無料となっています。
経費率
ETFでは、公募投資信託の信託報酬に相当する運用コストを経費率を用いて表しています。経費率については、海外ETFの保有残高に応じて日毎に差引かれます。
ETFの運用コストは全体的に低く抑えられている銘柄が多くあり、ほとんど年率1%未満で中には年率0.1%以下の銘柄も存在しています。
海外ETFの購入価額
市場価格
ETFは株式同様に証券取引所に上場されていますので、取引時間内であれば自由に売買する事が出来ます。
また取引価格についても都度更新されていて、取引時点の需要と供給・為替相場によって市場価格は変動して行きます。
2020年8月24日のバンガード・トータル・ストック・マーケットETF(VTI)値動きをチャートで確認してみましょう。
出典:楽天証券
チャートでは、1日の市場価格を1分毎に表示しています。最安値は11時頃の172.87米ドル、最高値は16時の終値173.87米ドルと最大価格差は1米ドルもありました。
このように時々刻々と変動する市場価格の中で本人の裁量で自由に取引を行う事が出来ます。
海外ETFの利益
海外ETFの利益の源泉は売却益と分配金です。
売却益(キャピタルゲイン)
保有する海外ETFを売却した際に購入時よりも市場価格が高ければ売却益を得る事が出来ます。
また、売却時の市場価格が購入時を下回っている場合は売却損が発生します。売却損については、翌年以降3年間繰越す事が可能となっていて、翌年以降の海外ETFの売却益を始め国内・国外上場株式や公募投資信託の売却益や分配金に充てて損益通算する事が可能です。ただし、損失の繰越や海外ETF等の運用益との損益通算は申告分離課税により確定申告を行う必要があります。
分配金(インカムゲイン)
海外ETFでは、投資対象とする株式や債券から配当金や利子収入を得る事が出来ます。配当金や利子収入から経費を差し引いた運用益を原資として分配金が払い出されます。
そのため、先物取引を行うブルベア型のETFなど配当金や利子収入といったインカムゲインが発生しない場合は、分配金が払い出される事はありません。
分配金の払出頻度は、ETFを運用する会社の決算の回数によります。そのため毎月決算の海外ETFであれば毎月分配金が払い出される可能性があります。決算の都度、確定した運用益を元に分配金が払い出されるので、海外ETFでは公募投資信託と異なり元本の払い戻しに相当する特別分配金が払い出さる事はありません。
海外ETFの税金
外国源泉所得税
海外ETFや公募投資信託など外国資産へ投資を行う場合は、外国資産からもたらされる配当金などの運用益を原資として払い出される分配金に対して米国であれば10%の所得税が源泉徴収[3]分配金を受取る際に予め税金が差引かれることされます。
国内源泉所得税
海外ETF等の外国資産へ投資する金融商品の分配金は、外国で源泉徴収された後に国内において所得税・住民税・復興特別所得税が源泉徴収されます。
税率にして所得税15%+住民税5%+復興特別所得税0.315%合わせて20.315%です。
外国税額控除
海外ETF等の外国資産へ投資する金融商品の分配金は、外国で所得税が源泉徴収された後に国内においても所得税・住民税・復興特別所得税が源泉徴収されています。
そのため海外ETFについては、外国と国内で二重課税される問題がありました。
2020年1月1日の税制改正により、海外ETFを含めた投資信託について外国にて徴収された源泉所得税が国内で納める税額から控除出来るようになりました。
外国税額控除の計算については分配金の受取時に自動で行われますので、投資家自身が手続きする必要はありません。このため、低廉なランニングコストである海外ETFのメリットがより強調されています。
外国と国内においての二重課税は分配金に限った問題であり売却益については外国で課税される事はありません。
またNISA口座で運用する外国資産へ投資を行う海外ETF等の場合は、分配金が非課税となり国内源泉税20.315%が徴収されませんので外国源泉所得税との二重課税が生じません。ただし外国での源泉所得税は徴収されています。
参考:日本証券業協会 投資信託等の二重課税調整制度開始のご案内
海外ETFまとめ
- 海外ETFは海外証券取引所に上場されている投資信託
- 海外ETFは運用コストが安い・市場価格で取引き出来る・外貨建で運用される
- 売買手数料・為替手数料が掛かる
- 利益の源泉は売却益と分配金
- 分配金は運用会社の決算毎に利益が確定され投資家に配当される
- 分配金には外国で源泉所得税が課税される
- 分配金は国内でも課税されるため二重課税される
- 2020年1月1日から海外ETFの外国源泉所得税について外国税額控除による調整が行われるようになったため、二重課税問題は解消された。
最後までお読み頂きありがとうございます。
当記事が読者方のお役に立てたら幸いです。
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